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奄美の民間信仰とユタの信仰

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奄美の信仰には原始の信仰の姿が残されているかもしれません。
そんな思いを抱きながら同じような考えを持っている方も含めて、探している方のために私の見聞きしてきたことを私の考えを含めて書いていきたいと思います。

民俗的なことはほとんどが伝承文化ですので、語り継がれていくなかでかなり変化していくものだと思いますし、私の考えも入りますから、ここに書かれることが全て正しいと解釈しないでください。

神拝みの順番

ヒヌカン 火の神(女性が中心の一般信仰)

ディク  山の神(山で仕事する男が拝む)

アムィゴ 水の神(特別な女が拝む)

テルコ  太陽神(ユタが拝む)
*ユタの場合は大概は全部を拝んでます。


ヒヌカンの祀り方

*竈とヒヌカン(2011年10月 ばしゃ山村 奄美民俗村にて)

ヒヌカンは昔は竈(かまど)の神として、土や粘土で竈の形を作って拝んでいたものが時代の変化に伴い今の形へ変わってきました。昔は一般的であったようですが、今ではそのことすら知らない世代になってきてます。

竈の神は奄美に限らず全国的にその土地の形でありますから、どのような地域でもできると思います。一番簡単な方法は、神社で竈の神様の御札を下さいと言えば大概もらえますので、それを火の元の上に貼って祀るというものです。

大昔から、火を囲んで食事をしてきた、火はその家の繁栄の証しでもあります。また、火を燃やし煙を天上 高く上げて神様に願い事をしてましたから、ユタが神の道を開くにしてもとても大切なのです。

神の道は火から始まると言っても過言ではないと私は思ってます。そして、火の煙が簡略化されて今のお線香になったのだと思ってます。

沖縄のヒヌカンは太陽の火の意味だそうですので、同じ呼び方でもその意味と祀り方や心得が大きく異なりますので、注意してください。


ヒヌカンの祀り方の例 

ディクの祀り方


ディクの祀り方の例(2011年10月 奄美パークにて)

ディク(大工の神)は山の師恩を受けることを感謝するために一般家庭で神棚を作って拝んでいます。火の神(竈の神)が女性が拝むのに対し、この山の神は男性の神とも言われています。せんさく仙人、テンゴの神と呼ぶこともあります。

私の円集落の本家に行った時も祀られていました。

写真の3点セットは、大工道具屋で山の神を拝むセットとして用意されています。私の神棚の最上段の一番右に祀ってあります。

アムィゴの祀り方

奄美の聖なる川に行くと、いたるところに水神崇拝の痕跡が・・・。

この写真は、私の聖地「円集落のアムィゴこもり」と呼ばれている場所。一般の方が手を合わせる場所から、かなり上のほうにあります。とくに霊感がない人でも“神風”を感じると言います。

一般家庭においては、ユタの判事により、その家の誰が水神様を受け継ぐかが決定されます。

家族全員が集まり、ユタを招き特別な日に判事のための儀式をします。ユタが祝詞を唱えはじめると、水神様を受け継ぐべき人の体が小刻みに震えるなどの反応が現れ、その様子などから、ユタが決定します。

水神様のお世話をする者として指名された女性は、家族の代表とされ、聖なる川へ行き、身を浄め、色々な儀式や祝い事を、家族の繁栄のために生涯続けます。

奄美の一般家庭ではこういったことが伝承され、繰り返されてきましたが、現代では衰退してきているようです。しかし、我々ユタにとっては水神様は神人合一の土台的存在で、今もなお伝承し続けています。

神棚での拝み方


参考写真:神棚

◎ユタは毎朝毎晩40分位かけて拝みます。

特別な日には特別な祝詞とお供え物でお祭りしています。

それぞれの神棚はそのユタの個性が強く出てきます。
ヒヌカン以外の神様もひとつの神棚におまとめしています。
(水の神、山の神、ノロ様、先祖神等)

一般の方が拝みたい時は、商売をしている家が棚を作って祀っているような全国共通の神道スタイルで十分です。

神道具


私の初期の神棚

高盆(たかぼん)

奄美独自の形です。
これは箱舟の意味もあり神に向かって真っ直ぐに航海していく、そんな気持ちを込めて神に願うそうです。

島太鼓(チジン)

馬、牛、ヤギの皮を使用した奄美独自の太鼓です。
ユタは決まった物を使います。
太鼓の活躍する場面は多いです。

シロギン(白の神衣装)

大体生地を買ってきて自分たちで縫うか、頼むかします。
大事な祭りの時は袴をはいたり、白いハチマキをします。

しめ縄

ユタの家の玄関には一年中しめ縄が下がっています。

神馬

奄美ユタ神様の特徴でもあります、神様は馬に乗ってやってくるという考えから必ず神棚に置かれています。

日の丸の扇子を二つ、天照大神の掛け軸なども特徴的です。

鑑定道具

多くのユタはコップに焼酎を入れてそれを覗き込む、又は鏡に映るものを視て占います。
お酒を少量飲むと視えてくるとするユタや、お米を見ながら霊感を研ぎ澄ますとする方もおります。

魔除けの貝

クモ貝

奄美では7本角を持つこの貝を、魔除けの貝として玄関などに吊るす習慣があります。
私は神棚の両方に吊るしています。

ある研究者の本によると、大昔この貝の角を折って、魔除けとして首に巻いた事が、
巴形をしてる事から、勾玉の始まりではないかと書いてありました。

水字貝(スイジ貝)

もう一つ似たような役割の貝があります。
6本角ですが漢字の「水」をいう文字に似ている事から、火事から水の神様が守ってくれるという意味を込めて玄関先に吊るしています。

魔除けの植物:ハマユウ(浜木綿)

昔は魔除けの花として玄関先に植えていた。
海岸などでよく見られる。

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